いやもうすばらしくて、ぜひとももう一度見たいと思った。演る方も愉しいのだろう、どうやら続くようで、実に嬉しい。

デュオを組んだきっかけは、昨年秋の時の話とはちょっと違っていて、新倉さんが名古屋、渡辺さんが岐阜でライヴをやっていて、新倉さんが渡辺さんのライヴを見に行こうとしたら会場のマスターがどうせなら楽器を持ってきたらと誘ったのだという。とまれ、このデュオが生まれたのは、音楽の神様が引合せたのだろう。

今回、お二人も言うように、チェロと打楽器の組合せはまずこれまで無かったし、他にも無いだろう。この場合、楽器の相性よりも、本人たちがおたがい一緒に演りたい相手と思ったところから出発しているにちがいない。むろん、チェロと打楽器のための曲などあるはずもなく、レパートリィから作る必要がある。というのは、何をしようと自由であるとも言える。試行錯誤は当然にしても、それ自体がまた愉しいと推察する。

この日はバッハやグリーグ、クレズマー、北欧の伝統曲、それに二人のオリジナルという構成で、完璧とは言えなくても、ほぼどれも成功していた。あるいはお二人の技倆とセンスと有機的つながり、それにそう、ホールの魔術が作用して成功させていたというべきか。

開演前、渡辺さんが出てきてハマー・ダルシマーのチューニングをする。後でこれについての説明もしていたこの楽器が今回大活躍。ステージ狭しと広げられた各種打楽器の中で、使用頻度が一番高かったのではないか。旋律打楽器としてはむしろ小型で、ビブラフォンなどよりは扱いやすいかもしれない。チューニングは厄介だが。

オープニングは二人が客席後方から両側の通路を入ってきた。各々手でささえた鉢のようなものを短い棒で叩いている。金属製の音がする。ステージに上がっ